職業画家の割合
職業画家とは、収入の6~8割以上が作品販売で成り立っている人。
2023年の国勢調査で、職業芸術家は41万人。そのうち、陶芸家・画家・工芸美術家を含めた人数は40,200人だそうです。
40,200人のうち6割が画家だとしたら、たった24,000人しかいないことになります。
日本人の成人人口を全人口の半分としたとき、職業画家の割合は0.035%!
今も昔も、絵で生計を立てていくのは極めて困難な世界ですね。
絵が描きたい・掛けたらと思っている人の割合
大学生を対象としたある調査で、実に70%以上の学生が、絵を描くことが好き・やや好きと答えたそうです。
逆に、苦手意識があるかという問いには60%ほどが「ある」と答えました。
すごい矛盾ですね!
でもこれ、絵を教えているとよく分かります。
絵は原始的な自己表現
たとえば、
・多言語同士でも、簡単なイラストを描けば伝わる。
・文字を知らなくても描ける。
・子供は文字より先に絵を描き始める。
といったことがありますが、
人間はジェスチャーに似たコミュニケーション手段や自己表現手段として、歴史的には古代から、人間的には幼少期から誰もが絵を描くことを体験していることが分かります。
言葉や文字のように学習を必要としない自己表現ツールとして、DNA的な記憶があるのではと考えます。
絵は心を映す
「字は体を表す」という言葉があり、「名前はその人の性格や生き方を表す」という意味ですが、近年では「文字はその為人(ひととなり)を表す」という意味で使われています。
同じように『絵はその人の心を映す』と言えます。
心理学では、木や林を描いてもらったり、着色で絵を描いてもらったりして心理状態や欲求を探る研究がされていますが、私の教室でも自由画を描いてもらうと、その人の性格や好み、気分がよく分かります。
描画の生理学的効果
脳科学の分野で調べてみると、絵や図を描くと右脳の背外側前頭前野という部分が活性化するそうです。ここは構造化されていない物事を整理して、解決に繋げる認知スキルの部分とのこと。
なるほど!
私は思い当たりまくりです。
絵を描く動作は何をどう描くか?
ということから始まります。
これをこーして・あーしてこう進めれば
誰かの絵と全く同じ絵が描ける!
ワケではありません。
完成を思い描きながらも
思うように表現できない壁が次々と出現しますが、
「描きながら・対応しながら」完成させる。
という道筋を辿ります。
認知スキルをフルに使って描いているんですね!
日々、理論的で理性的な生活を心がけている人間は、左脳を駆使して生活しているようなもの。右脳をフル活用する描画作業を一定時間つづけた後に脳がスッキリするというのは、左脳が休めて、右脳で自己世界に没頭できるからなのかもしれません。
なぜ絵を描きたくなるのか?
私の結論。
何か描いてみたいな~と思うのは
・手っ取り早い自己表現方法
・自己世界への没頭感
・解決策発見(完成)への達成感
・言葉にできない気持ちの表現
といったことで、なにかが解消された体験が
記憶に刻まれているからではないでしょうか。
想いを何かの方法で具現化したいと感じたとき、一目で分かってすぐ実行できる方法をとりたくなるのは人間の本能なのかもしれませんね。
絵を描きたいけど苦手。という矛盾
前述のように、原始的で初歩的な自己表現ツールとして記憶に刻まれているかもしれないのに、なぜ苦手意識を持つのでしょうか。
原因の一つに学校教育があるかと思います。
産業革命まで、西洋絵画は写実一本でした。
昭和時代に義務教育を受けた方は、主にダヴィンチやボッティチェッリなど西洋中世の画家たちが描いた写実を「良い絵(世界的に有名)」として教わったと思います。私も昭和時代にそんな教育を受け、実習と言えば風景画(写生)が主でした。
見たまま描くというだけの教育は
裏を返せば、似てなければ下手
という概念になってしまいます。
私の経験では、中学校1年のときの美術の先生がご年配で、写生の時間にゴッホやモネといった印象派の方法で描いたら成績が2になりました(笑)
高校までの12年間、美術はオール5のハズが・・・。
漫画がアニメという大きなジャンルになったことや、
SNSの発達によって様々なジャンルの絵やイラストを
日常的に目にするようになりましたが、
どうもまだ“似てなければ下手”という概念から抜け出せず
「描きたい」けど「苦手」という
矛盾を生み出しているのかもしれません。
一絵描きが調査・考察した私見ですので、抜粋やコピーはご遠慮ください。
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