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第29回国際平和美術展によせて

最初に、今回お声がけくださった株式会社クオリアートさんへ心からの感謝を送ります。


 出品オファーをいただいたとき、一つの条件というか頼まれごとがありました。

出品サイズは平面が10号と決まっていて、それを色鉛筆でとのこと。確かに近年はずっと色鉛筆で制作・販売していますが、販売用なのでサイズが小さく分かりやすいモチーフです。いずれは、「色鉛筆で作品制作を」と考えてはいましたが、日本画科を卒業後、アーティストとしての作品は日本画でしたから、色鉛筆を使ってArtの目線で、それをF10で。そんなオファーに、久しく忘れていた緊張を感じました。

 色鉛筆ですから、基本的に線か点でしか画面を埋めることができません。一筆で面を描くことはできないので、どれほど時間が掛かるのかも想像すらできませんでした。なにより、これだけの美術展に出品するのであれば、作者としてはイラストではなく“Art”を感じられるものを生み出したい。そんな思いがありました。

 作品には「平和とは」というコメントをつけることになっていました。

巡回先が、9.11AttackのNew Yorkで20年目の追悼ということもあり、私自身、このコメントを深く自問する機会でもありましたが、考えるうちにある日、この漠然とした写実でもない、想像でもないモチーフが、天から降って来たかのように思いつきました。

「moonbow(夜の虹)」です。ハワイで見られるという現実の風景で、実は私も見たことはありません。

 ここからは、インスピレーションだけを頼りに「平和・平和…」と心の中で唱えながら描きました。雲の表現、画材として絵具に負けない重厚感の表現、そしてインスピレーションの表現に苦心し、3回描き直すことになりました。

 出来上がったものがどうなのか? アートは観る人が感じて決めるべきもので、それに委ねて多くの人々に観てもらうことで、絵が一人で成長してゆくと考えていますが、まさに!絵が独り歩きを始め、「英国王立美術家協会」の名誉会員を賜り、2022年8月、ロンドンの丸ギャラリーで開催されるMINELVAへの旅立ちが決まりました。

 私にとって新しいチャンスと可能性を見いだせた、人生で何度目かの“初心忘るべからず”の作品になりました。


Title : A moonbow

色鉛筆画 F10

「平和」を考え、想像するとき、

世界中の人々の心の平安に成り立つものであってほしいと願う。

暗中で悩み、恐れ、出口が見えず嘆くときも、

ここが生まれ持った光を決して手放さないことを祈って。


かいせ由子 / Yuko Kaise

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