色鉛筆の性質のちがい
一口に色鉛筆と言っても少しずつ性質が違って、様々なメーカーで生産されています。
性質の違いは大きく分けて2つです。
・水彩色鉛筆
・油性色鉛筆
水彩色鉛筆は、描いた上から筆で水を塗ると色が溶けて水彩画のようになる性質のもの。
油性色鉛筆は一般的にいう「色鉛筆」で、顔料をワックス類(蝋や化学物質)で練ったものです。
代表的な色鉛筆の紹介
ここでは油性色鉛筆に絞ってご紹介します。
細密な塗り絵・色鉛筆画に挑戦しよう!とお考えのビギナーさんや、とりあえず使っている色鉛筆がどうなのか分からない・次に何を使おうか?などなどお考えの方へ!
代表的な“油性色鉛筆の種類”と特徴についてご紹介します。
【国産品】
■「みつびし880」「みつびしポリカラー」ともに全36色 単色販売あり
誰もが見覚えがあって、ひょっとしたら引き出しの奥に眠っているかもしれないほどメジャーな製品です。だからと言って低品質だとか絵画に不向きなものではありません。特徴は、昭和からのオーソドックスな色組のため中間色は少なめですが、風景を描くには良い色組だと思います。また、色鉛筆の中では芯が固めなので、筆圧が強いほど重ね塗りがしづらくなりますが、色鉛筆画の取っ掛かりには遜色なく使える製品です。
■「みつびし888 コロリアージュ」 前36色
コロリアージュとはフランス語で着彩・塗り絵を表す言葉。“非常に細かく塗り分ける塗り絵”大人の塗り絵用に作られたものです。特徴は、色組が880と違って中間色が多いということ。パステル調の美しい色組が描く意欲を高めてくれそうです。描き心地は880と同等、中間色が多いのでグラデーション表現がし易いです。
まさに、女性が好む“コロリアージュ”向きの製品です。
■「みつびしuni(ユニ)カラー」36色・72色・100色のセット
デザイン用に開発されたもので、全100色を揃えています。昭和の美術・デザイン系の学校では教材としてこのセットが主流でした。固めの芯であっても鮮やかな発色が特徴で、グラデーションから点描までこなせます。コスパも良く、デザイン画はもちろん写実~超写実向きと言えます。
※補足
“消せる油性色鉛筆”「みつびしアーテレーズ」という36色セットがあります。
私は使ったことがありませんのでどの程度消せるかは不明ですが、他の色鉛筆よりは良く消える(軽く消せる)んでしょう。
【外国製品】
■「カリスマカラー」全72色 12色・24色・48色・72色(サンフォード社・アメリカ)
私の知る限り、油性色鉛筆としては芯が一番柔らかい製品と思います。そのため発色も素晴らしく、アメリカらしい?鮮やかで独特な色組も特徴です。芯の柔らかさゆえ、専用鉛筆削りの利用を推奨されるほど。芯先を尖らせて使うには不向きですが、直感的なスケッチやデッサン、デザイン画の制作向きです。私の作品では、仕上げにもう一段鮮やかさが欲しい時に使用しています。※2024年12月末で製造終了。
■「ファーバーカステル ポリクロモス」 全120色(ドイツ)
12色・20色・24色・36色・60色・120色
アート界で一番知られていて、最も使われている色鉛筆と言えます。芯は太く中硬めです。定着力があり、鮮やかで高い発色性と10層以上の重ね塗りができる優れた色鉛筆で紙も選びません。写実・スケッチ・直感的にと、フレキシブルに使える高い品質を持っていると思います。単色での入手のし易さもあって、私の作品の80%以上は、この色鉛筆を使用しています。
他にもカランダッシュ(スイス)、ダーウェント(イギリス)、など素晴らしい色鉛筆がありますが、上記で紹介している海外製品も含めプロ向きの色鉛筆です。また、総じて、国産品よりアート用海外製品の方が芯は太目です。
芯が太い色鉛筆は、
・広い面積を塗り込みやすい
・削り出しに手間がかかりる
芯が柔らかい色鉛筆は、
・直感的にぐいぐい描ける
・細かい筆致に不向き
・減りが早い
そういう意味で
・自分が目指す表現(写実?超写実?直感的?)
・描きたいモチーフ(風景?動物?植物?)
これらが決まってくる頃がメーカー別の違いがわかる頃だと思いますので、今ある色鉛筆に単色購入で補充しながら試し、自分に合ったものを見つけてほしいと思います。
ちなみに価格帯は、安い→高い順で紹介しました。
みつびし880の単色単価は¥80前後、ファーバーカステルの単色単価は¥330前後です。
どの色鉛筆がどの絵に向くか
上記で紹介したカリスマカラ―以外の色鉛筆は、どれもスケッチ・イラスト・写実のどれも対応できます。違いは描き心地ですが、ビギナーさんが最初に買うならという視点でご紹介します。
大人の塗り絵
「みつびしコロリアージュ」または「みつびしuni36色」
“グラディエンスアート”を提唱している私としては、ビギナーさんにはこの2点がおススメです。なんといっても日本人の平均的な筆圧に合っているので、使用感に違和感がありませんし、扱いやすさ・品質・価格が安定していて、色組も日本人好みなのでとても使いやすいと思います。
静物を写実
「みつびしuni36色」
72色セットが安心かもしれませんが、ビギナーさんの多くは24~30色が使わないままになります。24~36色セットから始めて、単色を買い足す方法がおススメ。ボタニカルアートや動物など細かい表現に向いています。
風景や動物を描く
「みつびし880 36色」
風景を描きやすい色組のため、パステルカラーは少なめ。
「ファーバーカステルポリクロモス 36 色」
アートから写実まで万能。同系色も微妙な違いで揃っていて、その発色も抜群です。
いかがでしたか?
どれを選ぶか決められそうでしょうか?
価格はあえて載せませんでした。
さまざまなショッピングサイトで
さまざまな価格で販売されているからです。
プロパー価格は、みつびし880が1本80円前後で
ファーバーカステルが1本330円前後と紹介しました。
みつびしuni、カリスマカラーは
1本180~220円前後です。
1本単価×セット本数でおよその価格が分かるので
それをガイドにしてみてください。
最後に、言わない方がいいと分かっていて敢えて書きます。 〇〇均や1000色というものは、アートにはお勧めできません。 色によってはとても発色が悪く、描き心地も最悪だったりします。発色が悪いとは、描いても色が見えない(特にパステルカラー)。描き心地が悪いとは、強い筆圧で描いても芯の色が出ず薄い。ということがあります。 〇〇均は中国製のため色の概念が独特です。赤が朱色っぽかったり、青が群青寄りだったりする特徴は、色鉛筆も絵の具も同じ。安価だからとお子さんの絵画教室用にあつらえると、他の子と同じ色を作れないという残念さがありますのでご注意ください。
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